今年1月中に読んだ8冊についてまとめておきましょう!
「すたじばん」の前身ブログは、読書ブログとしてスタートしたんですよ…
女王の百年密室/森博嗣
2022年から、森博嗣の「すべてがFになる」から始まるシリーズを全て出版された順に読んでいくチャレンジを進めています。
10年前でしょうか、Gシリーズの「ジグβ」が新書版で出版されたところまでは追いかけていたのですが…
なのでしばらくは再読になります。
2023年12月までにVシリーズの「六人の超音波科学者」まで18冊読み進めました。
出版された順と申しましたが、シリーズの合間に出された短編集「地球儀のスライス」と「今夜はパラシュート博物館へ」、別シリーズになる『百年シリーズ』の「女王の百年密室」を読んでいないことに気づいて、急いで読んだ次第です。
順番としては、
・S&Mシリーズを読み終えたところで「地球儀のスライス」
・Vシリーズの「夢・出会い・魔性」の後に「女王の百年密室」
・同じくVシリーズの「魔剣天翔」の後に「今夜はパラシュート博物館へ」
と読んでいく目論みでした。
(森博嗣 出版年表より)
さて「女王の百年密室」ですが、舞台は未来。
後の「四季シリーズで」登場するウォーカロンが一般化している社会。
ウォーカロンを連れた旅人が俗世間から隔絶された街に赴いて…密室。
「Gシリーズ」につながるような、倫理(?)感覚が異なる世界での応酬が、うーんコレコレ、この感じよ。
森博嗣シリーズ世界観の一貫性がいかに確固たるものか痛感させられてキモチイイほど。
自分は未読ですが、後の「Wシリーズ」「WWシリーズ」を読む上で読んでおくべきとされる「百年シリーズ」。
次はVシリーズ読み終えたあと、短編を挟んで2作目「迷宮百年の睡魔」読むのが楽しみです!
ブロックチェーン 相互不信が実現する新しいセキュリティ/岡嶋裕史
AIが実用できるようになる前は夢の技術ともてはやされたブロックチェーンについて、遅まきながら読んでみました。
アルゴリズムって普段から意味もわからず雰囲気で使っていましたが、
暗号化や改竄防止の使い方からアルゴリズムの真の意味がわかりました(わかったつもり)
暗号技術の話は、公開鍵あたりの理屈がよく理解できなかったのですが。
AIもそうですが、万能に利用できる技術ではなく、向き不向きを見極めて使わないといけないのはどんな技術も同じですよね。
「ビットコインでお買い物」がいつまで経っても普及しないのも、マイニングが段々儲からなくなっていくのもよくわかりました。
地球儀のスライス/森博嗣
「有限と微小のパン」の後に読みたかった短編集。
再読2回目。
Vシリーズ開始前にも関わず、
これはウォーカロンの仕業なのでは?
時系列としてはVシリーズ中盤の内容なのでは?
と思える一編があり。
S&Mシリーズが終わった時点で相当先までストーリーが出来ていたのだとわかって戦慄。
全部の話にキレイな着地点があるわけではないので難しいところもありますが、それも短編の味わいなのかなと思います。
大地の5億年/藤井一至
土壌の成り立ちから眺めた変わり種の地球史。
再読2回目。
とにかく土壌は酸性化との戦いという印象。
そして窒素。
これからの時代は炭素も見逃せない。
一個一個の現象は理解できても、なかなか土壌全体の理解に至れないのが大変。
日本の土壌は肥沃だという印象があるのですが、それは施肥と農家の皆さんの努力の結晶なのでした。
椿井文書―日本最大級の偽文書/馬部隆弘
江戸時代後期に作成された偽文書群、通称「椿井文書」
その成り立ちから、それなりに受け入れられてしまっている現状について考える一冊。
偽書というと、東日流外三郡誌についての本を読んだ時も感じたのですが、
偽書が受け入れられる背後には、偽書で儲けようとする者の影がチラついているなという点。
これはフェイクニュースなんかも同じだと思うのですが。
偽書もフェイクニュースもしっかり反駁して、研究の対象にするのが最大の対策なんだなと思いました。
今夜はパラシュート博物館へ/森博嗣
こちらも読むタイミングを見逃した短編集。
S&Mシリーズ、Vシリーズ登場人物の人間関係にさらに奥行きを持たせるナイス番外編。
今から考えると「今はもうない」あたりからそうだったんだよ!
それ以上はネタバレなので言えませんが…
シリーズ外の短編の短編的難易度は先述の「地球儀のスライス」より上かもしれない。
兵站―重要なのに軽んじられる宿命/福山隆
ウクライナの件もあり、戦場での補給のやり方等に興味が湧いて読んでみた。
兵站の戦術的意義や地政学の話がメインで、具体的な補給方法はあんまり。
ウクライナ前に書かれた本なんだけど、現在のウクライナ戦線がパッとしない根本的理由が見えてくるあたり、先見の明というか、普遍的教訓が込められたな良い本なのだろう。
こうしてあなたたちは時間戦争負ける/アマル・エル🟰モフタール&マックス・グラッドストーン 山田和子 訳
まず時間戦争とはなんぞやなのですが、そこはSFなので読みながら理解していただいて。
さまざまな時代とさまざまな情景で展開される知的遊戯が大変エレガントでついていくのがやっと。
引用というかオマージュが巧みなようなので、なかなかマニアックな一冊でした。
フィクションとノンフィクションが半々とバランスよく読めたのではないでしょうか。
森博嗣が3冊あるのはバランスが悪いか。
来月もどんどん読んでいきたいと思います!