弾語りのメインギター。
2015年4月28日入手。師匠を通してコレクターさんから譲っていただきました。ありがとうございます。
仕様
Body:Basswood or Sen
Neck:Maple Oval Type 324mm
Fingerbord:Maple or Rosewood 21F 184R
Pick Up:TL Current
楽器カタログの世界 さん掲載データより抜粋。
木目が出ているのでボディはセン。アッシュの代替材として昔の国産ギターではよく使われていたと聞きます。専門家でも製材されてしまうとアッシュと区別がつかないそうですが、ちゃんとセンと明記しているあたりメーカーの矜持を感じます。
指板はローズウッド。ビンテージ感あふれる21フレットにラジアスが184mm(7.25インチ)。今回記事を書くにあたって184mmラジアスと判明したわけですが、自分では200mmぐらいかなぁと思っておりました。以前、シンガーソングライターの直塚光弘さんが使用されているビンテージストラトを触らせて頂く機会がありまして。ビンテージストラトはキツイキツイと評判の184mmラジアス指板のはずなのにウチのテレとあんまり変わらないんだなぁと感じました。
そりゃそうだ。同じだよ。
言われるほど弾きにくくないですし、フラットな指板だからといって弾きやすいってことはないなと思いました。
一時期ローズウッドが絶滅危惧種保護の一環で取引が難しくなり、エボニーやパーフェローといった代替材が使われた事例がありましたが、時期的に流石にローズウッドですよね。色も道管も絞まった良いローズウッドだと思います。ちょっと薄目のラウンド貼りになっております。
70年代モデル?
シリアルナンバーはK017668なので90年か91年に製造された模様。フジゲンがFender Japanの制作を担当していた時期らしいです。今年2020年で30年目!ジャパンビンテージの域に達していると言ってよいのでは。
当時のFender Japanカタログによると、品番はTL72-600L。TL72とはつまり1972年仕様。モダンロゴに黒白黒の3プライピックガードが70年代とする所以でしょうか。テレキャスはストラト程”70年代”のクセが無いので何とも言えない所ですが。
しかし、レフティで70年代仕様なのは奇妙。現行Fenderレフティテレだと50年代風か現行スタンダード仕様での選択になりますし。流通しているレフティテレキャスを眺めていると、カスタムやシンラインを除くと70年代仕様はあるかな…?50年代風のいわゆる”ブラックガード”仕様が多いように感じます。
推測ですが、1機種で指板とボディー材のバリエーションを持たせるために70年代仕様が選ばれたのではないかと思っています。この頃のFender Japanはメイプル指板=50年代仕様、ローズ指板=60年代仕様になっていたと思うので、指板のメイプル/ローズが選べる70年代仕様がレフティに選ばれたのではないかと思います。レフティに2機種もラインナップ要る??
なにはともあれ、レフティであえて70年代っていうのはひねくれていて素晴らしいですね。
ブロンドっぽいクリア塗装のブラックガード(モドキ)にローズネックを合わせるのも一味違っていて良い。
ローズウッドのネックとブロンドのボディをコンパチ(コンポーネント)したのかなと思っておりましたが、お茶の水の楽器店で試奏した際に店員さんに見て頂いたところ、
「たしか当時こういうのあった気がする」
という証言を頂きました。流石は楽器の町。
チグハグな仕様も、(90年代とはいえ)ジャパンビンテージらしいところと思いましょう。Gotohロゴ入りロトマチックマシンヘッドから燃え立つジャパンビンテージの香り。
出音と電装まわり
サウンドはチャキチャキのテレサウンドかと思いきや堂々の落ちつきっぷり。シングルコイルの音抜けはそのままに、作られてからの年月でカドが取れたのかマッタリと響きます。もちろんリアポジションでアンプのトレブル上げればテレサウンドもできる。
自分が入手した時点ではボリュームポットにハイパスコンデンサが仕込まれておりましたが、劣化してしまったのか効き目は感じられず。まもなくピックアップセレクターYM-30が断線するようになったので、電装を丸々新調しました。250kΩのCTSポットとフェンダー式3wayセレクターに交換。配線はオヤイデのQAC-222G。グッと芯が太くなりました。
コンデンサはこだわりなく定番のセラミック、ハンダは島忠で購入したGootの電子工作用ハンダなので次はそのあたりこだわってみます。
上からボリューム、トーン、セレクターの順に変えてあります。
セレクターが先頭だとストロークの際にセレクターをチョップしてしまうので、この並びが好きです。チョップの危険が遠のいたのでセレクターノブは角型(?)で背の高いものを使用しています。
こだわりと言えばノブはコダワリのストラト仕様。元々はテレキャス標準のメタルノブが付いていましたが交換しました。ストラトノブはプラスチック製なので安っぽいという評判もありますが、自分はストラトノブは電装をコントロールする象徴として、工業製品”エレキギター”のシンボルの一つなんじゃないかなと思っておりますし、あらゆるノブの中で最も機能的に洗練されていると思っております。
個人の感想です。
ミリ規格のCカーブポットが手に入らなかったのでノブを回す方向は右利きと同じ向きになっております。ゆえに目盛りがノブの効きと一致して実にわかりやすい!
左利きはこういう所でも苦労いたします。
黄色地に黒三角のシールは”故障指示ラベル”というもので、不具合起きている所を指示するシールなのです本来は。
電装系を改造した話は以前ブログで書いてりましたので参照してください。
アイキャッチはなんとGotohの6連ブリッジ!
ブリッジプレート周りにフェンスが無いのでピッキングの邪魔になったり、弦を叩くのと一緒にフェンス叩いて痛い目を見る事のない優等生なのですが、大人しい出音になってしまうので気に入らず。一回弦を交換するまでの間しか使わなかったレア状態!!
テレはブリッジプレートのチョイスで音が激変します。個人的にはテレキャスはワンパクな方が似合っている気がします。
ここまで読んで頂けた皆さんはポットのカーブにはコダワリをお持ちかと思います。自分はボリュームBカーブ、トーンはAカーブにしております。トーンはBカーブだと絞り切る間際に効き始めるので自分には合いませんでした。ボリュームのBカーブは微調整が効いて使いやすいです。
ジャックはメタルプレートに変えて剛性を高めています。ジャックそのものも安定感に定評のあるスイッチクラフト製に交換済み。時折確認するとナットが緩んでいることもあるので、菊座金を噛ませようかと考えております。
背面
背面側。人体に密着する部分にはウェザーチェックのような細かな塗装割れが生じています。塗装は、ギタースタンドのゴムに耐えてくれていることからラッカーではなくポリエステルかポリウレタンと思われます。通常細かくは割れない塗料だと聞いていますが、体温の熱と汗の蒸気で劣化が進んだのでしょうか。斜めに入っているステッカーの日焼け痕は自分が頂いた時から出ておりました。
愛称
ギターの愛機には名前を付けるのがロック界では通例でありまして。キース・リチャーズの”ミカウバー”やジミー・ペイジの”ボツワナ”が有名かと思います。
自分もあやかって名前を付けました。
カラーが黄色と黒なので”ジャスミン”と呼んでおります。
コロナで大変な所ですが、自分はこのテレキャスを弾いて日々慰められております。
テレ改め、ジャスミンに関してはいくらでも書けますね。
愛機があるって本当に良いですね!