地獄変・邪宗門・好色・藪の中 他7編 感想

芥川龍之介の短編集。
岩波文庫。
BookOFFにて108円で購入。
いわゆる王朝物の短編がまとめられている。

「ございます口調」の語り部が話す体裁の作品が多く、独特の厳かさを感じる。
口伝という古い形体が王朝物の古めかしさをより引き立てている。
「ございます口調」は下手をするとギャグにも慇懃無礼にもなってしまうと思うのだけど、そこを世界観作りに使ってしまうあたり、流石は文豪と言った所かと思う。

平安時代は幽玄な雰囲気よりも、映画「羅生門」の「末法の世」みたいな雰囲気が好き。
美しい物も汚い物もゴチャゴチャと細かい描写を与える事ができるあたりは、人として文章レベルの違いが歴然として突き放されるように感じる。
自分も頑張ろう。

「杜子春」等小学生でも読める話から、「藪の中」の人狼ゲームめいた話、耽美?を感じる「地獄変」まで、バリエーションの広さも芥川龍之介の魅力かと思う。
本書は割と読解力が求められるけど、独特の雰囲気は一読の価値アリ。

 

フランクリン自伝

アメリカの実業家にして政治家、科学者であり、アメリカ独立宣言の起草にも関わったベンジャミン・フランクリンの自伝「フランクリン自伝」を読んだ。

この手の古典だと岩波文庫がスタンダードだと思うけど、自分は中央公論社の新書版で読んだ。
各章ごとに注釈が細かく載っているし、新書サイズで活字も現代風なので、古い版の岩波文庫よりは読みやすいと思う。

訳者の前文によると、フランクリンは「典型的なアメリカ人」と言われることがあるらしいんだけど、そりゃー嘘だ。
確かに、無一文から出発して大成功を収めたのはアメリカンドリームの典型だけど、フランクリン並の道徳を修めた人は稀でしょう。
実際自伝の後半によると、国政に進出したフランクリンの足を引っ張る不誠実な人の多いこと多いこと。
稀有な人物だからこそみんなの憧れに値する人物なんだな、と思う。

自分が履修した世界史の授業では合衆国前史は扱わなかったので、「本国イギリスの圧政に耐えかねた植民地議会が独立を宣言した」ぐらいしか知識が無かったんだけど、独立に至るまで、フランスと戦争したり植民地領主と対立したりと、知られざる歴史があったのがわかった。

本書のキモはフランクリンが青年期に作った「十三の徳目」。
自身の徳を完璧なレベルにしようとすべく考え抜かれた13の徳目。
一覧と解説はwikipedia参照
13の徳目を身につけるために、表を作って実施状況を記録するのも参考になる。
まさにライフハックの元祖と言えるんじゃないかと思う。
大いに参考にしたい。

草枕

草枕

Kindle版で読みました。つまり青空文庫版。
 
例によって古典文学はよくわからない
時代が違えばそりぁ読み取れない所も出てくるかと思うけど、古典と言われる物には時代を超越する普遍性があるので、現代人が読んでも汲み取る所があるはずなんだけど…どうも読み込みが甘いのか人として未熟なのか、難しい所があるね。
 
芸術論みたいな所が主題だと思うけど、草枕は小説の形を取った随筆みたいに感じた。
私小説というか、小説にはよくある話だと思うけど。
冒頭の「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される(略)とかく人の世は住みにくい」の一文は有名だけど、ここからしてよくわからないよね。さらに「どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生まれて画ができる」と続く。もうね…
年内にでももう一回読みたいかなぁ。少しは得る物があるんじゃないかな。

桜の森の満開の下・白痴 他十二篇


桜の森の満開の下・白痴 他十二篇 (岩波文庫)

坂口安吾の代表作を集めた短編集。

表題作のタイトルだけ知っていたので、どんな話かなぁと思って手に取ってみた。
結果惨敗。
古典というにはやや新しい作品だと思うんだけど、自分には難しすぎた。
人間ってこんな難解なものだろうか…。もっとシンプルに生きてるんじゃないのかなぁ。自信を無くす。

幻想小説の皮を被ったホラー「夜長姫と耳男」と「桜の森の満開の下」。
夜長姫のキャラはラノベ好きな人にはツボだろうなぁ。女怖えぇ。
桜の森の方は雰囲気に飲まれてしまう。桜怖えぇ。
ビッチの回顧録「青鬼の褌を洗う女」
要するに不倫でしょ?「女体」と「恋をしに行く」
終戦間際に絶望しつつ生を謳歌する「戦争と一人の女」
恐らくギャグ「風博士」
どれも消化不良だ!
よくわからん!!
タイトル知っている物から読んで行った後、残りの作品を掲載順に読んで行ったんだけど、最後になった「アンゴウ」で癒された。
ミステリーとして面白かったし、結末でジンときた。
もうちょい自分が大人になったらまた読みたい。
書いていて思ったけど、この本の感想は一言で言えば「女怖えぇ」でいいかもしらん。

三国志(4)


三国志(4)(吉川英治歴史時代文庫 36)

第四巻。表紙は赤壁レッドクリフ。でも実質は孔明の巻。
劉備が孔明を訪ねる度に不在で、その時々に遭遇する高士達に片っ端から声を掛ける姿は滑稽だけど、皆が口を揃えて「孔明程ではない」という事で、否が応にも期待が高まる!

個人的には水鏡先生の飄々としたキャラクターが好き。
好々!

(7/6読了)