フランクリン自伝

アメリカの実業家にして政治家、科学者であり、アメリカ独立宣言の起草にも関わったベンジャミン・フランクリンの自伝「フランクリン自伝」を読んだ。

この手の古典だと岩波文庫がスタンダードだと思うけど、自分は中央公論社の新書版で読んだ。
各章ごとに注釈が細かく載っているし、新書サイズで活字も現代風なので、古い版の岩波文庫よりは読みやすいと思う。

訳者の前文によると、フランクリンは「典型的なアメリカ人」と言われることがあるらしいんだけど、そりゃー嘘だ。
確かに、無一文から出発して大成功を収めたのはアメリカンドリームの典型だけど、フランクリン並の道徳を修めた人は稀でしょう。
実際自伝の後半によると、国政に進出したフランクリンの足を引っ張る不誠実な人の多いこと多いこと。
稀有な人物だからこそみんなの憧れに値する人物なんだな、と思う。

自分が履修した世界史の授業では合衆国前史は扱わなかったので、「本国イギリスの圧政に耐えかねた植民地議会が独立を宣言した」ぐらいしか知識が無かったんだけど、独立に至るまで、フランスと戦争したり植民地領主と対立したりと、知られざる歴史があったのがわかった。

本書のキモはフランクリンが青年期に作った「十三の徳目」。
自身の徳を完璧なレベルにしようとすべく考え抜かれた13の徳目。
一覧と解説はwikipedia参照
13の徳目を身につけるために、表を作って実施状況を記録するのも参考になる。
まさにライフハックの元祖と言えるんじゃないかと思う。
大いに参考にしたい。

超簡単 お金の運用術

超簡単 お金の運用術 (朝日新書)

世の中には色々な金融商品があって、儲かったり儲からなかったりしているらしいです。
本書はそういった群雄割拠というより跳梁跋扈とした金融界で、割と手間をかけずになるべく多く投資利回りを得られるやりかたを紹介しています。
ざっくり書くと、貯金をETFという投資信託の一種に投資して、事故とか病気とかで大金が必要になったら部分的に解約してお金を作って運用する方法。
もちろんもっと細かくHow-Toがありますが。
ETFとは「証券取引所で取引される投資信託」のことだそうで、あんまり儲からない代わりに割りと安定しているんだとか。
つまりローリスクローリターンなんでしょうか。
自分の乏しい経済知識ではETFの安全性が評価しきれなかったので手を出さないことにはしましたが、本書後半の「お金のあれこれ簡単レクチャー」は参考になりました。
「自分自身の財産を管理している銀行を相手に投資の話をしてはいけない」というのは良く考えると当たり前ですが、言われて初めて気がつきました。
自分の財布の中身を見せながら値段の交渉をするようなもんですよね。
それと、昨今の貯蓄が金利でほっとんど増えない時代に数%の手数料や金利を支払うのがいかにマズイ事なのか。
いかに借金をしてはいけないか という事もよくわかりました。
割の良い運用方法を知りたい、というより、この本をきっかけに実用的な経済のアレコレを学び始めるのに良いかもしれません。

経済ってそういうことだったのか会議

経済の基本を対談式で分かりやすく解説しているよー、と聞いて読みました。 
対談しているのは小泉内閣で活躍した竹中平蔵氏とピタゴラスイッチの仕掛け人 佐藤雅彦氏。 
2000年に書かれた本なのですが、12年後となっては予言書の様相を呈しているスゴイ本。
リーマンショックが起きる8年前にアメリカ主導のグローバリゼーションに警鐘を鳴らしているし、通貨の話で欧州の通貨統合に触れて、成功か失敗か「以外と早い内に結論が出る気がします」 と締めくくってる所なんかゾクゾクしました。
アメリカによる消費主導の経済の流れについても触れているのですが、
竹中氏はこれだけ見通しがついているのに、なんで小泉政権下でデフレ対策を取らなかったり、
最近では、TPPに賛成したりするんだろう、と不思議でならないのですが、
よくよく考えると、竹中氏は小さな政府主義の人でしたね。
釈然としないけど納得! 

TPP亡国論

日本のTPP参加が現実味を帯びてきて、自分の生活への影響や身の振り方を考えないとなぁ、と思って読みました。
経済ナショナリズムの専門家である著者らしく話は経済の視点で一貫して書かれていました。
現在日本が陥っているデフレやリーマンショック前後のグローバリゼーションの構造を詳しく解説してくれていて、目からうろこが落ちっぱなしでした。
自分は構造改革や貿易自由化は善で公共事業の無駄は悪であるという幻想に囚われていたのですが、デフレ下では公共投資によって国内経済活性化し、適度な保護主義で市場を育てるのが大切だとわかりました。
保護主義が戦前の世界恐慌を起こしたというのも勘違いだとわかりました。
自分としては移民問題が一番心配なのでその詳細を知りたかったのですが。
スウェーデンでは大量移民で内戦状態に陥っていると聞きますし。
TPPに関してはもっと調べないとダメですね。
意外と2chが詳しいですが。

上達の法則

上達には練習が不可欠で、ある程度の時間と労力を投資しないといけない物です。
そんな”上達”の認識を考える一冊。
本書のテーマは、練習の効率化というより、「上達することによって、認知構造が変容する」という点にあるように思います。
序文に書かれてますし。
つまり、ある程度上達すると課題としているモノの見かたが変わるという事。
真正面から見ると50円玉と竹輪の見分けがつかないが、上達する過程で俯瞰的な見方を覚えて、奥行きから判別がつくようになる・・・みたいな。
物へのアプローチのしかたが多様になると言いますか・・・。
自分はギターを始めてそろそろ丸15年になります。
長くやっているだけあって、初期に比べると自分でも分かる程に上達していて、
昔の自分では到底見えなかったような見方ができているなぁ、というのが体験としてあります。
ですので、本書で述べられている認識論には、ウンウンと同意しっぱなしでした。
数値化できない”上達”というパラメーターを論ずるのは難しいですが、一旦上達を体験した人ならすんなり飲み込めるはず。
伸び悩んでる人にオススメです。