知的生産の技術


知的生産の技術 (岩波新書)

ノート術やメモ術の本を読むと、高確率で名前が挙がるライフハック本の古典。
”知的生産の技術”という事で、ネタ集めから、資料の整理法、考えた事を文章で発表する所までのテクニックを紹介しています。

本書がススメるノート術というのが、ノートではなくカードに書いていく方法。
カードと言ってもトランプみたいな小さな紙片ではなく、B6サイズの中厚紙。
なぜB6という珍しいサイズを選ぶのかと言うと、持ち運びの利便性と、きちんとした文章で記録を残すのに十分なサイズだからだそうです。
書いた内容の整理・分類には、とじられたノートよりもバラバラのカードのほうが良いんだとか。
確かに、メモとかノートは全部同じノートに次から次へと書いていきなさいという本を読んで、半年ぐらいA4ノートに日記等書いていたんですが、閲覧性が悪くて、いつの間にか書かなくなってしまったし。

自分も”カード式”と言うものを実践してみようと思って、オキナのプロジェクト・ペーパーを買いました。

カードというにはペラいけど、レポート用紙の1.5倍ぐらいは厚いし。
一冊200円ぐらいなので、1枚あたり2円と中々お手頃。

どこまで続けられるか、三日坊主で終わらないか心配ですが、ここはがんばるしかない。
本書の序論は、こう締めくくられていました。

知的生産の技術について一番かんじんな点はなにかといえば、おそらくは、それについて、いろいろとかんがえてみること、そして、それを実行してみることだろう。
たえざる自己変革と自己訓練が必要なのである。

情報収集なんかは積み重ねが大事で、ある程度オートマチック化していく必要があるかと思いますが、やはり常に問題意識を無くさない姿勢も必要なんだとおもいました。

三国志 (1)


三国志 (1) (吉川英治歴史時代文庫 33)

説明不要の歴史的名作!
なんですが、読む度に途中で挫折しておりまして。
今回で第一巻は3回目ぐらいの読みなのです。
前回は赤壁まで行かなかったので、今度こそ読みきりたいと思う所です。

1巻は都が長安に移って、董卓討伐隊が解散した所まで。
次巻以降はしばらく呂布の無双が続いたような気がする。
忘れる前に読み進めましょう・・・

学問のすすめ 現代語訳

学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)

一万円札の肖像でおなじみの福沢先生の歴史的名著の現代語訳版。
オリジナル版は明治時代の出版当時としては、庶民にも読みやすい文体で書かれていたそうなので、現代人が読みやすいように訳してくれるのはありがたいと思う。
「学問のすすめ」が説く、目指すべき到達点は”自主自立”を成し遂げるということ。
これは開国してから日が浅く、世界をヨチヨチと渡り歩き始めた当時の日本の感覚による物だと思いますが、今の日本人にも求められる所なんじゃないかと思う。
“独立の気概がない人間は、国を思う気持ちも浅い”
ともおっしゃってますし。

独立とは他人に依存する心がないこと。
何物にも依存しない確固たる自身を確立する為に学問をし、各人に生じる義務を全うしてこその独立。
「学問のすすめ」なので、冒頭に勉学の奨励が来るのはわかるけど、そのすぐ次に義務の遵守を持ってくる所が凄いと思った。
神社の御神体を粗末にする等のエピソードから、唯物論者だと思ってたが、古いものを検討なしに批判し、新しい物を迎合する姿勢も批判していて、バランスを取っているのは流石だと思った。

白鯨 (上)


白鯨 (上) (岩波文庫)

2013年一発目はアメリカの文豪メルヴィルの白鯨から。

19世紀半ば、捕鯨業が盛んだった頃の海を舞台に”モービィ・ディック”と呼ばれる白いマッコウクジラを追う男たちの物語。

上巻は、やっと捕鯨船”ピークオッド号”が出航して、しばらくした所まで。
有名な
「白鯨を一番に見つけた者には、マストに打ち付けた金貨を与える!」
の下りは出て来ましたが、肝心の白鯨はまだ出ない。
ここ数年日本の調査捕鯨船が某団体から攻撃を受けているという問題もあって、捕鯨全盛期はどんな感じだったのか、というのを知りたくて読み始めたのですが、その辺りは次巻以降みたいです。

先日、NHKが生きたダイオウイカの撮影に成功し、今週末のNHKスペシャルで映像を公開するということで、今から楽しみにしているのですが。
ダイオウイカの天敵といえばマッコウクジラ。
なんだか良いタイミングで「白鯨」を読み始めたんじゃないかな、と思っています。

ラヴクラフト全集 (5)

ラヴクラフト全集〈5〉 (Amazon)

読み終わりました。
ニャル子さんでおなじみ、ラヴクラフト御大の創元推理版全集の第五弾。
いよいよクトゥルフ神話っぽい話が続々出てきました。

今回は収録作品を一言ずつ紹介っ
ネタバレ注意です!

・「神殿」
漂流したドイツ軍の潜水艦が海底で異様な遺跡を発見する
→人のSAN値が下がるってこういう事態か・・・。

・「ナイアルラトホテップ」
大激変が起こったある都市にナイアルラトホテップと名乗る男が現れ、人々を導く。
→ご存知ニャル様がタイトルの一本。短編で、言ってる事も断片的なのでよく分からないのですが、人々を狂気の深淵に誘おうとする一途な姿勢は正に這いよる混沌。

・「魔犬」
墓荒らし二人組みが、墓から盗んだ魔よけの翡翠を狙う名状しがたい何者かに狙われる。
→面白い。呪いのアイテムさっさと捨てろよ!と思うけど、カタルシスに向かう過程が面白い。

・「魔宴」
古代より脈々と受け継がれた儀式に参加した主人公が目撃した物とは!?
→あー、やっぱり生きてはいないんだ!

・「死体蘇生者ハーバート・ウェスト」
医師のウェストは遺体を蘇生させる実験に没頭し、常に新鮮な死体を探し求める。
→今までのラヴクラフト作品の中でダントツのキモさ。しかしラストが百鬼夜行というか妖怪大運動会で拍子抜け。

・「レッド・フックの恐怖」
精神を病んだ元刑事が危険な街レッド・フックで見たものとは?
→19世紀終盤のアメリカのダウンタウンと奇妙な教団、不気味な儀式は不思議とマッチする気がする。

・「魔女の家の夢」
魔女が住んでいたという部屋に下宿した学生が夢の中で宇宙の深淵に導かれる。
→夢の中の狂気が徐々に現実に現れてくる過程がゾクゾク面白。

・「ダニッチの怪」
ダニッチ村に生まれたウィルバー・ウェイトリイは驚異的な速度で成長し、魔術の研究に没頭する。ネクロノミコンを求める彼が死んだとき、ダニッチ村を壊滅に追い込む事件が始まった。
→クトゥルフ神話の中でも有名な一本。邪神の血を引く魔術師の暗躍が面白。後半は怪獣映画に。

・「『ネクロノミコン』の歴史」
→公式クトゥルフ神話設定。

と、今回は深淵を追及しすぎてSAN値が低くなってしまった連中の話が多かったです。
邪神に深入りは禁物ですね!
アザトホート様がみてる。