妄想銀行

妄想銀行 (新潮文庫)

本朝における”ショートショートの神様”星新一のショートショート集。自宅の書棚に眠っていたので掘り起こして読んでみた。

ショートショートってその短さゆえに複線が速攻で回収される所がカタルシス。逆に複線が読めなくて最後の最後で「やられた!」となるのもまた楽しい。
本書の収録作の中で、前者は「大黒様」と「変な客」、後者は「声」と「長生き競争」かなぁ。

個人的には小説は大作主義ってか長編が好きだけど、短い中でどうまとめるか、速攻で落とすかも見所だなとわかった。

(6/6読了)

ルー=ガルー2 (上)


分冊文庫版 ルー=ガルー2 インクブス×スクブス《相容れぬ夢魔》(上) (講談社文庫)
ノベルス版は厚くて重いので分冊文庫版で読みました。
「お・・お前がやったのか・・・?!」
みたいな所で終わったので、早く下巻に手を付けたいです。
以下、京極夏彦妖怪シリーズ「邪魅の雫」のネタバレを含みます。

久々の京極小説。前に読んだのが・・・思い出せないけど大学時代に本書の前作「ルー=ガルー 忌避すべき狼」を読んだ覚えが。
その後「邪魅の雫」・・・?「百鬼徒然袋-風」・・・?かなぁ?
いや、確か「邪魅の雫」は「百鬼徒然袋-風」の後に読んだはず。間違いない。
「邪魅の雫」は発売された時に買って読んだので、もう8年前!
8年!そりゃー忘れるわー。その頃からブログ継続してればよかったのに。

しかし「邪魅の雫」の”あの毒”が再び出てくるとは。
いや、ぜんっぜん覚えてないんだけど、アルティメット青酸カリだっけ??
”証拠も痕跡も残さない未知の毒物”っていう何ともフィクション的に作品とマッチしないアイテムが出てきて鼻白んだりしたし、なんとも後味の悪い話だったのは覚えてる。
相変わらず説教臭い文体だけど、これぞ京極夏彦というような感じ。
これよ!これを待ってたのよ!みたいに思うあなたは京極マニア。
妖怪シリーズと百鬼夜行シリーズ、巷説百物語シリーズはまた通して読みたいなぁ。
読みたいけど・・読みたいけどページ数がハンパないよ・・・。
分冊文庫版で読めるイイ時代になりました。じゃあ読むか。
下巻につづく

ツィス

ツィス 広瀬正・小説全集・2 (広瀬正・小説全集) (集英社文庫)

「サウンドクリエイターのためのエフェクター製作講座」の筆者である大塚明さんがオススメしていたので読んでみました。
東京近郊で謎の”ツィス音(C♯)”が発生。
だんだんと強まっていくツィス音によって人々の生活が壊されていくというパニック?小説。
カタストロフィは無かったけど、ラストのどんでん返しが良かった。
ツィス音のアッと驚く正体!
粛々と人々が音から避難していく様は、なんだか日本的かもしれないと思った。
がしかし、ちょっと不満も。
書かれたのが1971年。
これはいわゆる理系ミステリの走りなのではないかと思う。
ただ、先日エントリに書いた「科学的とはどういう意味か」の”科学的”の定義からすると、「再現性のある現象を数式を用いて表現し、みんなで築き上げていく」というプロセスが無いのでちょっとモヤモヤした。
聴覚を奪われた社会のシミュレートが相当リアルで、一読の価値アリ。
音に襲われた人々の心理描写に克目せよ!

ニンジャ スレイヤー (1) ネオサイタマ炎上Ⅰ

ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上1

Twitterにて連載されているという異色のラノベ、ニンジャスレイヤー第一巻読みました。
”ネオサイタマ炎上”。
この言葉にピーンと来た、と言うよりビビッと来た人は即上のリンクを辿って購入して読むべき。

”忍殺語”という言葉をご存知でしょうか?
本書、ニンジャスレイヤー(=忍者殺し)に出てくる独特の言い回しの総称なのですが、日本に詳しいとされるアメリカ人が曲解した日本描写と、不思議な語感が小気味イイのです。
一例を挙げたい所なのですが、忍殺語のアンブッシュ(待伏せ,奇襲)が本作のキモなので控えておきます(作中では忍者間の戦闘でアンブッシュは基本禁じ手)。

ライトノベルとしてとても良く書かれているのですが、そこに忍殺語が化学反応を起こし、えも言われる笑いがこみ上げます。
”サイバーパンク・忍者活劇”と銘打っていますが、存在自体がギャグなので一気に読んでスカっとすると良いと思います。

映画「花の詩女 ゴティックメード」観てきました (’13/5/1追記)

本エントリは後半にネタバレを含みます。

角川シネマ新宿にて、映画「花の詩女 ゴティックメード」観てきました。
ポスターのロボを見てピンと来るかと思いますが、月刊ニュータイプにて「ファイブスター物語(FSS)」を絶賛休載中の永野護監督作品です。

観ていてまず驚いたのがキャラクターのデザイン。
一般的な漫画アニメ化の場合、アニメ用のキャラデザなので、ちょっとコレジャナイ感が漂うものですが、ゴティックメードは違いました。
FFSの絵がそのまま動いています。
最近のキャラクターの顔つきや、光沢の描き方がほんとそのまんま。
驚かされました。
それもそのはず、本作は永野氏が原作・監督・脚本・絵コンテ・レイアウト・原画を担当。
正に永野護集大成といった感じがしますね。

よって、永野護ファン,FSS読者は全員ゴティックメードを観るべき!
各県に一箇所ぐらいでしか上映していないので、観にいくのが大変ですが、それでも観るべき!

川村万梨阿さんの歌も必聴です。

---以下ネタバレ---

もしかしたら、と思ってはいましたが、
まさか本当にジョーカー星団の話だったとは。
しかもAD世紀の。
終盤、FFSで見たことがあるエンブレムがチラホラ出てきて、ニヤニヤが止まらなかったですよ。

詩女の”記憶を受け継ぐ女性神官”って設定って、アトールの巫女そのものだし、トリハロンの顔はフィルモアのダイ・グぼっちゃんと同じですし、
ある意味始めからFFSとの関連は明らかだったわけですが・・・。
初代フィルモア皇帝とアトール女皇帝の平和への願いは、魔道大戦真っ只中でお預けを喰らっているFFSファンとしては、となんとも複雑な心境です。

上映時間が60分強で、ストレートなストーリーだったので、ちょっと物足りない感もありましたが、
FFS12巻が出てから6年間の空白を埋めてオツリがくるレベルの一本であること間違いなし。
もしかしたら今後のFFSにはゴティックメードの話が絡んでくるかもしれないですね・・・

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’13/5/1 追記
FFS連載再開のニュータイプ5月号読みました。

あばっばばばばっば、バッシュ・ザ・ブラックナイトが黒騎士ダッカスに・・・!
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!(AA略
モーターヘッドがゴティックメードになったんじゃない。
”ゴティックメード”が”ファイブスター物語”だったのだ・・・!
何を言っているのか(以下略

新しくなった年表に映画”ゴティックメード”のエピソードがシッカリ追記されてました。
星団暦451年だそうです。
AD世紀じゃなかったです。
スミマセンデシタ。

なんだろう、清々しいほどに思い切りの良い設定変更。
GTMのデザイン自体は好きなんですが、重装甲MHがカッコよかったんだよなぁ。
MHの運用にもトレンドがあって、魔道大戦時は重装甲が主流で、となると剣じゃキツイから棍とか斧を持ってるんだけど、黒騎士はそんな中剣で渡り合ってるんだよー
みたいな流れが好きだったんですが、これは・・・
みんなVサイレンみたいなネイキッド仕様みたいな・・・

もしくは、FFSの世界は時代が下るほど科学技術は後退するという設定があるので、
昔はGTMみたいなトンガッたロボットだったのが、だんだんと無難なロボットになっていった・・・
という妄想を膨らませていたのですが。
うっううー;;

ともかくFFSにゃ地獄の果てまで付いていく所存ですので、ガンガン応援していく方針で行きたいと思います。(ポジティブシンキン!)