たそがれ清兵衛

たそがれ清兵衛 (新潮文庫)

藤沢周平短編集。
表題の「たそがれ清兵衛」他、全8編が収録されています。
いずれも、普段は冴えない下級武士が変時とあらば白刃を奮って活躍する、いかにも時代劇!といった展開。
ある意味ステレオタイプなのですが、その中でスカッとする活劇もあれば、何とも後味の悪い話もあって、読んでいて飽きないバラエティーに富んだ一冊でした。

表題作は、山田洋次監督作「たそがれ清兵衛」の原作。
タイトルは「たそがれ清兵衛(映画)」なのですが、大筋は「たそがれ清兵衛(小説)」収録の「祝い人助八」なので(ややこしい)、映画観てから読むと、アレッ?って感じになること間違いなし・・・。
黒澤明の「羅生門」と同じパターンと言いましょうか。

映画の続編?にあたる「隠し剣 鬼の爪」、「武士の一分」が観たくなってきました・・。
たそがれ清兵衛と同じく小説がそのまま原作ではないみたいなので、映画みてから原作読むのがいいんじゃないでしょうか。

ニンジャ スレイヤー (1) ネオサイタマ炎上Ⅰ

ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上1

Twitterにて連載されているという異色のラノベ、ニンジャスレイヤー第一巻読みました。
”ネオサイタマ炎上”。
この言葉にピーンと来た、と言うよりビビッと来た人は即上のリンクを辿って購入して読むべき。

”忍殺語”という言葉をご存知でしょうか?
本書、ニンジャスレイヤー(=忍者殺し)に出てくる独特の言い回しの総称なのですが、日本に詳しいとされるアメリカ人が曲解した日本描写と、不思議な語感が小気味イイのです。
一例を挙げたい所なのですが、忍殺語のアンブッシュ(待伏せ,奇襲)が本作のキモなので控えておきます(作中では忍者間の戦闘でアンブッシュは基本禁じ手)。

ライトノベルとしてとても良く書かれているのですが、そこに忍殺語が化学反応を起こし、えも言われる笑いがこみ上げます。
”サイバーパンク・忍者活劇”と銘打っていますが、存在自体がギャグなので一気に読んでスカっとすると良いと思います。

AURA -魔竜院光牙最後の闘い-

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

「人類は衰退しました」の田中ロミオによる学園(ラブ)コメ。
ラブ要素は少ないですが、シュールさ、切なさは満載。

いわゆる中二病という、甘酸っぱいような思い出したくないような年代の少年少女と、世の中、特に同世代の非中二病患者達との折り合いの難しさがテーマ。
元中二病患者の主人公が重度の中二病患者であるヒロイン(表紙)の心を、いかにして中二病患者のやりかたで救い出すのかが見所です。

2013年には劇場版アニメが公開される予定ということで、今から楽しみです。
監督は「瀬戸の花嫁」や「天体戦士サンレッド」、アニメ版「人類は衰退しました」の岸誠二さん。
楽しみですね。

映画「花の詩女 ゴティックメード」観てきました (’13/5/1追記)

本エントリは後半にネタバレを含みます。

角川シネマ新宿にて、映画「花の詩女 ゴティックメード」観てきました。
ポスターのロボを見てピンと来るかと思いますが、月刊ニュータイプにて「ファイブスター物語(FSS)」を絶賛休載中の永野護監督作品です。

観ていてまず驚いたのがキャラクターのデザイン。
一般的な漫画アニメ化の場合、アニメ用のキャラデザなので、ちょっとコレジャナイ感が漂うものですが、ゴティックメードは違いました。
FFSの絵がそのまま動いています。
最近のキャラクターの顔つきや、光沢の描き方がほんとそのまんま。
驚かされました。
それもそのはず、本作は永野氏が原作・監督・脚本・絵コンテ・レイアウト・原画を担当。
正に永野護集大成といった感じがしますね。

よって、永野護ファン,FSS読者は全員ゴティックメードを観るべき!
各県に一箇所ぐらいでしか上映していないので、観にいくのが大変ですが、それでも観るべき!

川村万梨阿さんの歌も必聴です。

---以下ネタバレ---

もしかしたら、と思ってはいましたが、
まさか本当にジョーカー星団の話だったとは。
しかもAD世紀の。
終盤、FFSで見たことがあるエンブレムがチラホラ出てきて、ニヤニヤが止まらなかったですよ。

詩女の”記憶を受け継ぐ女性神官”って設定って、アトールの巫女そのものだし、トリハロンの顔はフィルモアのダイ・グぼっちゃんと同じですし、
ある意味始めからFFSとの関連は明らかだったわけですが・・・。
初代フィルモア皇帝とアトール女皇帝の平和への願いは、魔道大戦真っ只中でお預けを喰らっているFFSファンとしては、となんとも複雑な心境です。

上映時間が60分強で、ストレートなストーリーだったので、ちょっと物足りない感もありましたが、
FFS12巻が出てから6年間の空白を埋めてオツリがくるレベルの一本であること間違いなし。
もしかしたら今後のFFSにはゴティックメードの話が絡んでくるかもしれないですね・・・

—————————————————–
’13/5/1 追記
FFS連載再開のニュータイプ5月号読みました。

あばっばばばばっば、バッシュ・ザ・ブラックナイトが黒騎士ダッカスに・・・!
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!(AA略
モーターヘッドがゴティックメードになったんじゃない。
”ゴティックメード”が”ファイブスター物語”だったのだ・・・!
何を言っているのか(以下略

新しくなった年表に映画”ゴティックメード”のエピソードがシッカリ追記されてました。
星団暦451年だそうです。
AD世紀じゃなかったです。
スミマセンデシタ。

なんだろう、清々しいほどに思い切りの良い設定変更。
GTMのデザイン自体は好きなんですが、重装甲MHがカッコよかったんだよなぁ。
MHの運用にもトレンドがあって、魔道大戦時は重装甲が主流で、となると剣じゃキツイから棍とか斧を持ってるんだけど、黒騎士はそんな中剣で渡り合ってるんだよー
みたいな流れが好きだったんですが、これは・・・
みんなVサイレンみたいなネイキッド仕様みたいな・・・

もしくは、FFSの世界は時代が下るほど科学技術は後退するという設定があるので、
昔はGTMみたいなトンガッたロボットだったのが、だんだんと無難なロボットになっていった・・・
という妄想を膨らませていたのですが。
うっううー;;

ともかくFFSにゃ地獄の果てまで付いていく所存ですので、ガンガン応援していく方針で行きたいと思います。(ポジティブシンキン!)

ジグβ(ベータ)は神ですか

ジグβは神ですか (講談社ノベルス)

今月の新刊、森博嗣最新刊。
タイトル通り、Gシリーズの8作目です。

あらすじ
前作「目薬α」から4年後。
芸術家が集う自給自足の村で、ラッピングフィルムに包まれた死体が発見される。

推理には毎度のごとく唸らされまが、例によってなんともスッキリしない感じ。
でも文調と叙述に独特の感じあってがイイ感ですね。

本作は西之園萌絵や瀬在丸紅子、Xシリーズの椙田秦男といった、「すべてがFになる」から始まる一連のシリーズのオールスター登場といった感じになっています。
その中で、ぜんぜん覚えていないフラグがいくつか回収されたみたいで、ちょっと悔しい。
「すべてがFになる」を読んでから8年ぐらい経っているので、そろそろ見返してもいいかな、という気がしてきました。