坂の上の雲 (6)・(7)・(8) 完

  

坂の上の雲〈6〉 (文春文庫)
坂の上の雲〈7〉 (文春文庫)
坂の上の雲〈8〉 (文春文庫)

小説日露戦争。
読み終わりました!

第六巻は奉天会戦前の黒溝台会戦、バルチック艦隊、及び明石元二郎大佐の革命支援活動について。
第七巻は奉天会戦。
第八巻はいよいよ日本海海戦です!

これにて日露戦争の全貌を読みきったことになるのですが、想像以上に苦しい戦闘だったんだなぁと。
完全勝利と言われている日本海海戦も一歩間違うと全滅の危険があったわけだし、判断ミスからバルチック艦隊を見失いそうになったりと、正に薄氷を踏む闘いだったわけです。
陸軍の闘いも殆ど、”攻撃に耐え切った”為結果的に勝利したわけですし。
世の中意外と知られていないことばっかりですねー。
当時の日本人にしても、勝った負けたの要因分析をロクにしないまま、ずっと戦勝ムードで20年過ごしてしまって、後に太平洋戦争敗戦による帝国軍の消滅に至るわけです。

「連合艦隊解散ノ辞」の最後の一説はこうなっています。

神明はただ平素の鍛錬につとめ、戦わずしてすでに勝てる者に勝利の栄冠を授くると同時に、一勝に満足して治平に安ずる者よりただちにこれをうばふ。古人曰く、勝って兜の緒をしめよ、と。

勝って兜の緒をしめよ。
実に意味深長。

当初、戦争活劇を読みたかったのが、気がついたら何かとんでもない物を読んでいました。
何年かしたらまた読みたいです。

坂の上の雲 一覧
第一巻
第二巻
第三巻
第四巻
第五巻

たそがれ清兵衛

たそがれ清兵衛 (新潮文庫)

藤沢周平短編集。
表題の「たそがれ清兵衛」他、全8編が収録されています。
いずれも、普段は冴えない下級武士が変時とあらば白刃を奮って活躍する、いかにも時代劇!といった展開。
ある意味ステレオタイプなのですが、その中でスカッとする活劇もあれば、何とも後味の悪い話もあって、読んでいて飽きないバラエティーに富んだ一冊でした。

表題作は、山田洋次監督作「たそがれ清兵衛」の原作。
タイトルは「たそがれ清兵衛(映画)」なのですが、大筋は「たそがれ清兵衛(小説)」収録の「祝い人助八」なので(ややこしい)、映画観てから読むと、アレッ?って感じになること間違いなし・・・。
黒澤明の「羅生門」と同じパターンと言いましょうか。

映画の続編?にあたる「隠し剣 鬼の爪」、「武士の一分」が観たくなってきました・・。
たそがれ清兵衛と同じく小説がそのまま原作ではないみたいなので、映画みてから原作読むのがいいんじゃないでしょうか。

ニンジャ スレイヤー (1) ネオサイタマ炎上Ⅰ

ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上1

Twitterにて連載されているという異色のラノベ、ニンジャスレイヤー第一巻読みました。
”ネオサイタマ炎上”。
この言葉にピーンと来た、と言うよりビビッと来た人は即上のリンクを辿って購入して読むべき。

”忍殺語”という言葉をご存知でしょうか?
本書、ニンジャスレイヤー(=忍者殺し)に出てくる独特の言い回しの総称なのですが、日本に詳しいとされるアメリカ人が曲解した日本描写と、不思議な語感が小気味イイのです。
一例を挙げたい所なのですが、忍殺語のアンブッシュ(待伏せ,奇襲)が本作のキモなので控えておきます(作中では忍者間の戦闘でアンブッシュは基本禁じ手)。

ライトノベルとしてとても良く書かれているのですが、そこに忍殺語が化学反応を起こし、えも言われる笑いがこみ上げます。
”サイバーパンク・忍者活劇”と銘打っていますが、存在自体がギャグなので一気に読んでスカっとすると良いと思います。

AURA -魔竜院光牙最後の闘い-

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

「人類は衰退しました」の田中ロミオによる学園(ラブ)コメ。
ラブ要素は少ないですが、シュールさ、切なさは満載。

いわゆる中二病という、甘酸っぱいような思い出したくないような年代の少年少女と、世の中、特に同世代の非中二病患者達との折り合いの難しさがテーマ。
元中二病患者の主人公が重度の中二病患者であるヒロイン(表紙)の心を、いかにして中二病患者のやりかたで救い出すのかが見所です。

2013年には劇場版アニメが公開される予定ということで、今から楽しみです。
監督は「瀬戸の花嫁」や「天体戦士サンレッド」、アニメ版「人類は衰退しました」の岸誠二さん。
楽しみですね。

ジグβ(ベータ)は神ですか

ジグβは神ですか (講談社ノベルス)

今月の新刊、森博嗣最新刊。
タイトル通り、Gシリーズの8作目です。

あらすじ
前作「目薬α」から4年後。
芸術家が集う自給自足の村で、ラッピングフィルムに包まれた死体が発見される。

推理には毎度のごとく唸らされまが、例によってなんともスッキリしない感じ。
でも文調と叙述に独特の感じあってがイイ感ですね。

本作は西之園萌絵や瀬在丸紅子、Xシリーズの椙田秦男といった、「すべてがFになる」から始まる一連のシリーズのオールスター登場といった感じになっています。
その中で、ぜんぜん覚えていないフラグがいくつか回収されたみたいで、ちょっと悔しい。
「すべてがFになる」を読んでから8年ぐらい経っているので、そろそろ見返してもいいかな、という気がしてきました。