Baby Princess (6)

天涯孤独となった主人公、陽太郎は剣道の試合で知り合った天使ヒカル(あまつか・ひかる)に連れられ、
0歳から19歳まで1歳違いの姉妹19人+ママの家族の一員として迎えられる・・・
ある意味存在自体がイロモノなシリーズの第6巻。
だがちょっと待ってほしい!
逆に”日常モノ”で、ここまで設定にリアリティーの無い作品って他にあるだろうか?
魔法も宇宙人も超能力も異世界も奇跡も事件もロボもタイムパラドックスも無く、
現実世界の最果てに待ち構える”異空間”を
ここまで鮮やかに描ききっている小説は他にあるだろうか!?
と。
”19人姉妹”というトンデモ設定を現実に繋ぎ止めているのは
何といっても作者、公野櫻子先生の入念な取材と描写力にあると思う。
天使家に引き取られる前の陽太郎の貧乏生活の描写に出てくる、
厚揚げの入ったカレーとか、煮詰めた砂糖水のカキ氷とか、
妙に生々しいし、
冒頭の、三女・春歌が縁日の夜に迫ってくる場面では
熱帯夜のムっとした空気の壁が目の前に迫ってくるような感覚に襲われたし。
ライトノベルらしく、砕けた表現が多いので見くびってしまうけれど、
公野櫻子先生の筆力はホンモノ。
勢いだけで書いてるわけじゃないってのは間違いないです!

半分の月がのぼる空 (1)

  

三重県伊勢市の病院に入院中の裕一は同じく入院患者の理香と出会う。
淡々として、且つイマイチ起伏の無いストーリーなんですが。
なんですが、何だかすごい心惹かれる。
場面の一つ一つに何か琴線に触れる、確かな風景が描かれている気がする。
それも飾り気の無い筆致で。
自分は完全版で読みました。
原作のライトノベル版との違いは
・挿絵が無い
・台詞が伊勢弁に変更になっている
だそうです。
挿絵はまぁ好みの問題ですが、台詞の伊勢弁は良いですね。
ラノベからライト純文学にレベルアップした感じがします!
完全版・上は3巻まで収録されているので、ちゃちゃっと読みたいです。

今さら聞けない科学の常識

今さら聞けないって訳ではないけど、意外と知らない科学的豆知識を溜める本。

カフェインの致死量とか降水確率の意味とか面白かった。

中でも納得だったのが、保冷剤が溶けにくい理由。
保冷剤は凍結する前はゲルなので分子の動きが鈍いんだとか。
物質の三態の違いは分子の自由度の違いなので、
凍ったゲルが溶解しにくいのは正に真理。
ガッテン!

狼と香辛料 (1)

ちょっと前に映像化された話題作。

ビッグウェーブに完全に乗り遅れて読み始めました。

行商人ロレンスは商いの道すがら、豊穣の神で賢狼の”ホロ”と名乗る少女と出会い
彼女が北方の生まれ故郷に帰るまで共に旅をすることになった。
ある日銀貨のレートに関する儲け話を持ちかけられたロレンスは話に乗る事にしたが・・・

経済的な寓話とライトノベルを合体させた大傑作。
ホロも老獪で魅力的だど、
自分の置かれている状況や相手の利益になる事、打撃になる事を
巧みに引き出して交渉するロレンスがカッコイイ。

ホロ:「貨幣が国の力を表しているのはいつの時代も一緒のようじゃの」
通貨の価値でひどい目にあってる国もありますけどね!

誰からも「気がきく」と言われる45の習慣

「気づく」とは相手の気持ちに気づく事、がテーマの一冊。
自分としては、リマインダーとかライフハックみたいな 
具体的に”気がつく”ようになるツールやノウハウを期待してたんですが、
そういう本ではありませんでした。
でも、本著で繰り返し述べられている”相手ありきの「気づき」”
つまり相手を思いやることが”気づく”事の第一歩であるという考えは、
失念しやすいけど、大切にしたいと思いました。
本著にも書かれてますが、
・リストを作る
・期限を決める
・さっさと片付ける
この流れは正に真理だなぁ、と思いました。
つねにそうありたい!!