メルヘンと毒気のはざま 「人類は衰退しました 1」

人類は衰退しました 1 (Amazon)

現在絶賛放映中のアニメ「人類は衰退しました」の原作。
アニメの方はニコニコ動画 で視聴可ですので、是非ご覧になっていただきたいです。

何らかの理由で人類の文明が衰退し、昔話等に伝わる”妖精さん”達が地球を支配した世界が舞台。
妖精さんっても、フェアリーというよりコロボックルと小人さんを足して2で割った感じ。
デタラメな科学(?)技術を持っていて、一夜にしてメトロポリスを築いたかと思うと翌日にはサバンナに改築されているといった具合です。

主人公は妖精さん達と人類との折衝を生業としています。
主人公が妖精さん達にちょっかいを出した結果、振り回されるというのが筋です。

妖精さんも可愛らしいのですが、何といっても主人公がイイ性格していて良いです。
所々にブラックなジョークというか腹黒い本性がチラホラして楽しいですね。

アニメ第2話のサブカルチャーの話を読みたかったのですが、第六巻かー。
まぁじっくりいきましょう。

次世代に伝えるモノづくりの「僕らが作ったギターの名器」

僕らが作ったギターの名器 (Amazon)

70年代始めから日本のギター業界に携わってきた筆者が解説する、良い音良いギター、本当のモノづくりについて語る一冊。

モノづくりにおいて真に学ぶべきは

”自分達の歴史、文化に学ぶ態度”

真に追求するべき音とは

”自分のなかでいつも鳴り響いている音” 

等々、経験に裏打ちされた金言がちりばめられた、読み応えのある本でした。

【ヒッグス粒子発見(?)記念】 宇宙は何でできているのか 再読

神の粒子だとか、物体に質量を与えるだとか言われている”ヒッグス粒子”が発見されたという報道がありました。
ヒッグス粒子って何だっけなと思い、前に読んだ素粒子関係の本「宇宙は何でできているのか」を再読してみました。

流石に2回目だけあって、前回理解できなかった小林・益川理論の話も割とよくわかりました。

ただ、本書ではヒッグス粒子を”暗黒場”と呼んで、説明をあえてボかしています。

”正体のわからないものに名前をつけると、それだけでわかったつもりになりやすい”

なんだそうで。
知ったかぶりされるよりはよっぽど信頼できますが!
とにかく、ヒッグス粒子の存在が確定すると、物質を構成する素粒子と力を伝達する素粒子の理論が完成する、という事らしいです。

しかし、その素粒子の理論(標準理論という)で説明できる物質は宇宙全体の0.5%にすぎないんだそうで。
残り23%がダークマター、73%が暗黒エネルギー・・・なんだそうですよ。

宇宙の残りほとんどは謎のままという事ですが、今回ヒッグス粒子を生成した粒子加速器は、元々ダークマターを生成する目的で作られた代物らしいので、謎が謎を呼ぶ中、新たな発見に期待したいですね。

坂の上の雲 (5)

坂の上の雲〈5〉 (Amazon)
小説・日露戦争。
ついに旅順が陥落。
次なる舞台は奉天とアフリカ沿岸。
好古お兄ちゃん、もとい日本騎兵団とバルチック艦隊の出番です。

戦争は相手のある動的なものであり、極端に言えば味方の欠陥と敵の欠陥の突合せでこねあがってゆくものである (後略)

ロシア軍は官僚的な仕官ばかりで様々な機能不全を起こしていて、そこを突いて日本がかろうじて勝利を収めたわけですが、
日本軍も陸海問わずある程度の機能不全というか怠慢みたいな所があったというのが意外でした。
これも日本海海戦の圧勝ばかりがクローズアップされている弊害でしょうか。

残す所、ヤマ場は奉天会戦と日本海海戦となってきました。
ザクザク読んでいきたいです。

地図とあらすじでわかる!明治と日本人

図説 地図とあらすじでわかる!明治と日本人 (Amazon)

以前紹介した地図とあらすじでわかる 万葉集の姉妹本。
1867年の大政奉還から1911年の不平等条約の改正、1912年の明治天皇崩御までが図入りで詳しく解説されています。
が、坂の上の雲読んでいる段で見ると、キレイにまとまりすぎて肩透かしを食らってしまいました。
この本は「坂の上の雲」とか「翔ぶが如く」とか読む前の予備知識として目を通しておくのもよいかもです。

明治以降になると、日本史に朝鮮や中国がらみの話が多くなりまして、右だの左だのが難しくなるところですが、本書はきちんと中道を行く感じでした。
征韓論に台湾出兵、韓国併合といった国際問題を客観的かつ公平に書かれていたのが印象的でした。

「地図とあらすじでわかる!」シリーズは確かに分かりやすくてよいですね。
他にも聖書やら風土記やら邪馬台国があるみたいなので、読んでみたいです。