イシューからはじめよ

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

物事に取り組む前に、本当に取り組むべき課題、イシューをはっきり認識して、イシューに没頭する事で、最大の知的生産性を生み出す、というのが本書のテーマ。

まぁ言われればその通りなのですが、
何かプロジェクトを始めると、解決しないといけない課題や、習得しておくべき技能とか、際限無く出てきて困る事もあると思います。
ですが、筆者曰く、本当に取り組むべき課題というのは全体のわずか1%ぐらいだそうです。
とはいえ、ルーチン的な作業はこなしていかないとマズイわけで。

という事は”イシュー的作業”と”ルーチン的作業”の二段構えで行動を考えると良いかもしれないですね。

自分が担当しているプロジェクト、
バンド活動,ジャムセッション,知り合いのバンドのヘルプ等をあてはめて考えると
曲を覚えたり、基礎的な練習を”ルーチン的作業”
速弾きだったりジャズギター等の個性が備わるタイプの練習を”イシュー的作業”
こう捉えると、ちょっと行動の取捨選択に具体性が見えてきたような。

本書の趣旨とはずれてしまいましたが、少し頭が整理できたような気がします。

暗黒神話大系 クトゥルー(8)

暗黒神話大系 クトゥルー〈8〉(Amazon)

生みの親たるラヴクラフトを含む、多くの作家達の手で織り成される”クトゥルフ神話”。
今までラヴクラフト全集を読んできましたが、他の作家の作品も読んでみたいな、
というのと、”忌まわしき双子”、ロイガーとツァールが登場する「潜伏するもの」が読みたくて、暗黒神話大系 クトゥルーの第八巻から読み始めました。
収録作品は以下の通り。

屋根裏部屋の影   byラヴクラフト&ダーレス
侵入者   byヘンリー・カットナー
屋根の上に   byロバート・E・ハワード
電気処刑器   byアドルフェ・デ・カストロ
潜伏するもの   byダーレス&スコラー
名もなき末裔   byクラーク・アシュトン・スミス
インスマウスを覆う影   byH・P・ラヴクラフト

「インスマウス」はラヴクラフト全集第一巻に掲載されていたので省略。
なのですが、正直ラブクラフト作品に比べると、どれも微妙。
「潜伏するもの」も、あらすじ追ってるだけのような書き味で。
ちょっと物足りない。

読みにくい読みにくいと言っていた、あの這いずり回る冒涜的で名状し難い形容詞軍が実は作品に欠かせないエッセンスだったんだなぁ。

関連
ラヴクラフト全集 (3) (H・P・ラヴクラフト 2011/5/15)
ラヴクラフト全集 (4) (H.P.ラヴクラフト 2012/05/17)
ラヴクラフト全集 (5) (H.P.ラヴクラフト 2012/06/07)
這いよれ!ニャル子さん (7) (逢空 万太 2011/10/30)
這いよれ!ニャル子さん (8) (逢空万太 2012/1/15)
這いよれ!ニャル子さん (9) (逢空 万太 2012/05/15)

【図説】地図とあらすじでわかる!万葉集

図説 地図とあらすじでわかる!万葉集 (Amazon)

日本で現存する最古の歌集「万葉集」を、歌の舞台となった地の地図や図表でわかりやすく解説した一冊。

「地図とあらすじでわかる!」シリーズの古事記が人気だそうで、図書館で探してみたのですが、貸し出し中でした。
そんなわけで代わりに手に取ったのがこちら、万葉集です。

自分は学生の時分古典文学は苦手だったのですが、豊富な写真や地図と共に代表的な歌や歌人を説明してくれて、分かりやすかったです。
もちろん掲載した全歌に現代語訳付。

万葉集の歌は古今和歌集とか百人一首の歌のように、掛詞があんまりトリッキーじゃないのでまだ読める感じですね。
素朴な感じがいいと思います。

ちなみに、井沢元彦さんの「逆説の日本史」奈良時代編でも万葉集が解説されているんですが、ちょっと普通じゃない視点で面白いですよ。
近いうちに再読しょうと思います。

坂の上の雲 (4)

坂の上の雲〈4〉 (Amazon)

激化する日露戦争第四巻!
旅順が不憫で読んでて辛い!!

日本海海戦の勝利が鮮やか過ぎて旅順の血の海や満州での死闘に言及される事ってあんまり無いですよね。
やっぱり教科書の知識だけで歴史わかった気になってちゃダメだわ。

坂の上の雲に限った事ではないのですが、通史というか色んな時代を比較しているのは面白いですね。
今回は旧日本軍と織田信長の比較が出てきました。
日露時の勝ちパターンに囚われて敗北した旧日本軍に対し織田信長は桶狭間にて奇襲攻撃で成功を収めたにも関わらず、その後は正攻法で勝ってきた所が偉大だった、とありました。
なるほど。

まぁ203高地が落ちてからも長いので次巻あたりで旅順が終わると信じて読み進めますかね・・・。

関連
坂の上の雲 ① (司馬 遼太郎 2012/03/14)
坂の上の雲 ② (司馬 遼太郎 2012/04/27)
坂の上の雲 ③ (司馬遼太郎 2012/05/03)

ラヴクラフト全集 (5)

ラヴクラフト全集〈5〉 (Amazon)

読み終わりました。
ニャル子さんでおなじみ、ラヴクラフト御大の創元推理版全集の第五弾。
いよいよクトゥルフ神話っぽい話が続々出てきました。

今回は収録作品を一言ずつ紹介っ
ネタバレ注意です!

・「神殿」
漂流したドイツ軍の潜水艦が海底で異様な遺跡を発見する
→人のSAN値が下がるってこういう事態か・・・。

・「ナイアルラトホテップ」
大激変が起こったある都市にナイアルラトホテップと名乗る男が現れ、人々を導く。
→ご存知ニャル様がタイトルの一本。短編で、言ってる事も断片的なのでよく分からないのですが、人々を狂気の深淵に誘おうとする一途な姿勢は正に這いよる混沌。

・「魔犬」
墓荒らし二人組みが、墓から盗んだ魔よけの翡翠を狙う名状しがたい何者かに狙われる。
→面白い。呪いのアイテムさっさと捨てろよ!と思うけど、カタルシスに向かう過程が面白い。

・「魔宴」
古代より脈々と受け継がれた儀式に参加した主人公が目撃した物とは!?
→あー、やっぱり生きてはいないんだ!

・「死体蘇生者ハーバート・ウェスト」
医師のウェストは遺体を蘇生させる実験に没頭し、常に新鮮な死体を探し求める。
→今までのラヴクラフト作品の中でダントツのキモさ。しかしラストが百鬼夜行というか妖怪大運動会で拍子抜け。

・「レッド・フックの恐怖」
精神を病んだ元刑事が危険な街レッド・フックで見たものとは?
→19世紀終盤のアメリカのダウンタウンと奇妙な教団、不気味な儀式は不思議とマッチする気がする。

・「魔女の家の夢」
魔女が住んでいたという部屋に下宿した学生が夢の中で宇宙の深淵に導かれる。
→夢の中の狂気が徐々に現実に現れてくる過程がゾクゾク面白。

・「ダニッチの怪」
ダニッチ村に生まれたウィルバー・ウェイトリイは驚異的な速度で成長し、魔術の研究に没頭する。ネクロノミコンを求める彼が死んだとき、ダニッチ村を壊滅に追い込む事件が始まった。
→クトゥルフ神話の中でも有名な一本。邪神の血を引く魔術師の暗躍が面白。後半は怪獣映画に。

・「『ネクロノミコン』の歴史」
→公式クトゥルフ神話設定。

と、今回は深淵を追及しすぎてSAN値が低くなってしまった連中の話が多かったです。
邪神に深入りは禁物ですね!
アザトホート様がみてる。